『九州みちのくミーティング11月』〜雨、のち、ケーキ。〜

11月17日、土曜日。天気、雨。

 

パパパパパッ。タタタタタッ。右手に持った、体がはみだしてしまうほど小さな傘の上で駆け足する雨音を聴きながら、僕は教室へと歩きました。左手には買ったばかりのケーキを濡れないように抱えて。喜んでくれるかなーって、わくわくして、ちょっぴり足を弾ませました。スタッカートで刻んで。でも、水たまりは踏まないように。

 

ミーティングは、はるちんの司会で始まりました。はじめに、展示する写真の構成や、章ごとのタイトルをみんなで考えたのですが、なかなかまとまりませんでした。でも、「結論がでなかったとしても、しっかり話し合うという過程こそ大事なことかもしれません。」とみわっちが議事録のあとがきに書いたように、腕を抱えて、天井を見つめながら考えたあの時間は、「僕たちは写真で何を伝えたいのか」にみんなを立ち返らせてくれた貴重な時間だったと思います。

 

リーダーのゆうこりん(左)と議事録を書くみわっち(右)
リーダーのゆうこりん(左)と議事録を書くみわっち(右)

自分の大学での写真展開催を考えている学生もミーティングに参加してくれて、それぞれの想いを聞くことができました。――「東日本大震災の写真展を通して、長崎大水害のことや他の天災についてももう一度考えてほしい。」「東北にずっとはいられないけど、ここでできることをしたい。」「写真を見て、何かを感じてほしい。そして、考えて欲しい。震災のことでも、自分の身の回りのことでも。」――

みんなの想いを聞いたあいこが、「ちっちゃな、それぞれ違う矢印だけど、同じ方向を向いているからやっていける。」と言いました。

 

初めてミーティングに来てくれた学生にみちのくについて説明中のあいこ。
初めてミーティングに来てくれた学生にみちのくについて説明中のあいこ。
写真をじーっと見つめるメンバー。
写真をじーっと見つめるメンバー。

昼間降り注いだ雨は止み、厚い雲の後ろに隠れた太陽は西へ落ちようとしていました。月一度のミーティング。写真展開催も迫る中、議題を安易に先送りできず、長くなってしまうことは多々あります。みんなちょっと疲れてきたかな。ぱるるなんて、熊本から福岡にはるばるやってきて、きっとお疲れのはず。そう思って横目で見てみると、一番ぴんぴんしているようでした。強制でもない、長丁場のミーティングにみんなが集まってくる――もちろん、来たくても来れない人もいるのだけれど――。そこでの話し合いは、毎回、僕たちをそれぞれの原点に帰らせてくれる。ミーティングって、なんというか、家族が集まるお正月みたいな存在。

 

元気なぱるる
元気なぱるる

「お疲れ様でしたー!」は、ピーンと張った重厚な空気が甘く溶けるとき。僕とあいこはそそくさと教室を出て、冷蔵庫で眠っているケーキを取りに行きました。ケーキはふたつ。ひとつはみわっち、もうひとつははるちんへ。チョコレートケーキとショートケーキ。さあ、出番だよ、起きて!よーこも裏舞台に合流しました。うす暗くてひんやりとした廊下。しゃがんだ三人。不器用な手つきでロウソクに火を灯す。ボォッ。薄暗いただの廊下なのに、三人がいるところだけ、秘密基地みたいな、神秘的で特別な場所のよう。三人で見合って、オッケーの合図を出し合う。廊下の壁についたスイッチを押して、教室の電気を消す。パチ。よし。さあ、突入!――その瞬間、ロウソクの火は消えた――。開きかけたドアを慌てて閉じる。そしてもう一度、ロウソクに火を灯す。あの不気味で、不安で、それでいて少しワクワクする、もどかしくて中途半端な時間、暗い教室の中のみんなはどんな表情をしていたのだろう。入った瞬間、ロウソクの火に照らされたみんなの顔はほころびました。「ハッピバースデートゥーユー♪」お決まりの歌で誕生日を迎えたふたりを祝福して、ミーティングの後のサプライズはおしまい。誕生日おめでとう、みわっち、はるちん。

 

嬉しそうなみわっち。
嬉しそうなみわっち。
はるちんのフゥーッ。
はるちんのフゥーッ。

先日、よーこが僕に送ってくれたメッセージの一部にこんな言葉がありました。「今日集まったメンバーは震災が無ければ出会うことがなかったひとたちやと思うのね。こうゆうメンバーと楽しい時間を過ごすことは『震災後のいまを生きる』ことやと思うの。」心臓がドクドク音を立てて、全身が一瞬静止したことを覚えています。震災があって良かったなんて絶対に言えない。でも、そこから生まれるものもある。たくさんの火を灯していけるように、僕たちはこれからも活動していきます。熊本大学にて、11月26日〜30日の間、写真展を開催しています。ぜひ、お越しください!その後も、広島大学、修猷館高校などで、続々と開催する予定です。ぼくたちと共に活動したい!と思う方、自分の大学で写真展をやりたい!と思う方、切に、連絡お待ちしています。

しんじ